売らない私が売った株1 サンメッセ
株主優待目当てで買ったけど売った株についての話です。
以前、私はサンメッセ(7883)という株を持っていました。
印刷業で、年に一度、三月末に1000円分のクオカードがもらえる、というものです。
株価はその当時500円ほどだったでしょうか。100株なので5万円ほどですね。
基本的に株主優待目当てで買う私は、売買をしません。
買ったらそのままほったらかしです。
これは、私は短期的に株を売買して利益を出せるほど、そこまで才覚のある人間ではないからです。
買う、ほっておく、数年後にうはうは、が理想です。
しかし買った後も東証の適時開示情報閲覧サービス(上場会社が会社の情報を公表する場所)で自分の買った会社の株については毎日チェックを入れておりました……が。
毎日毎日チェックを入れているとですね。
やっぱり中にはあるんですね、買ったはいいけど業績不振になった会社というのが。
まさに、サンメッセがそうでした。
上場企業は四半期ごとに決算報告を出します。
それによって株価には窓ができて上がったり下がったりします。株価に与える影響が極めて大! なのが決算報告書です。
さすがに他社はともかく、自分が買った会社の株はチェックしていた私。
その日もサンメッセの株の決算情報を見てみて……うーむと唸りました。
めっちゃ、悪かったのです。
利益が少なくなった、減益というのなら株主優待目当てで買って株の売買が得意ではない私はポジションキープに針が動いたでしょう。
しかしサンメッセの決算は減益ではなく、赤字でした。
つまり、利益ゼロ。過去の財産を赤字が食いつぶしている状態だったのです。
その決算情報が出たのは金曜の三時以降。
市場は閉まっていますが、それだけに考える時間がありました。
繰り返しますが、私は株を売るのに慣れていません。
正直に告白しますと、この時が初めてでした。
それだけに、迷いました。
そんなに早く見切りを付けていいものか、もう少し長い目で見るべきじゃないのか、短期的に業績不振でも、そこから立て直した例はいくらでもあるじゃないか、等々。
何度もサンメッセの決算を読み返し、業績見通しを繰り返し読みました。
これが、例えば新分野に進出のための機械を買ったので赤字、とかいう判りやすい理由がついていてくれれば私はキープしていたでしょう。
しかし最終的に、私は決心しました。
その最後の一押しとなったのがラクスルというベンチャーです。
そのベンチャーのビジネスプランを見たとき、あ、こりゃ負けるわ。と思ってしまったのです。
株主優待目当てで株を買っている私ですが、それだけに「会社の業績が悪くなったら株主優待は簡単に廃止される」ことを知っています。
ついでに自社の買い物券とか製品は廃止リスクが低いですが、クオカードのような「自社と関係のない金券」は廃止リスクが高いです。
そして、サンメッセは減益、ではなく赤字。
利益が減った、のではなく、赤字です。
利益から株主優待の費用を出すのに、赤字なのです。
赤字の会社が、いつまでも株主優待をやっていてくれるでしょうか?
色々考えたあげく、私は月曜いちばんで売ることにしました。
が……。
人間考えることは皆同じというべきか、月曜日。開始からサンメッセの株はどんどん下がっていきました。窓を開けて急落です。
そこで慌てずに指値を入れて悠然と構えればいいのでしょうが、私は急落に怯え、あせって売り注文を出してしまいました。
結果。
もう少し待って売れば1000円くらいの利益は取れたと思いますが、-200円で決済。
しかも株主優待を一度も受け取っていないため、-200円で私にとってのサンメッセは終わりました。
200円で済んで良かったと思う事にしています。
あの急落より持ち直している現在を見るとやっぱり焦り過ぎたかなと思う事はしばしばですが、考えないことにしています。
売ってしまった株が事業を立て直して持ち直して株価が急上昇したとしても、そのことはできるだけ考えないことにしています。
だって小市民ですから!
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つづきません。
1とついているのはこれからも2、3と手放す株が出てきそうだから。